
ベトナムの文化を知ると、日本人なら誰もが親近感を抱くことでしょう。
ベトナムの文化は日本の文化と似たところがたくさんあります。
最近の日本人が忘れてしまった大切な文化を、ベトナムでは現在でも持っていますので、その文化に惹きつけられます。
他の国の文化を知るということは、興味深いだけではなく自分の国の文化を見直す良い機会にもなります。
そこで今回はベトナムの文化に関係する次のような点について、解説していきます。
- ベトナム戦争が影響するベトナムの文化
- ベトナムの社会生活
- ベトナムの食文化
- ベトナムの歴史と文化
ベトナムの文化は知れば知るほど面白く興味深い発見があります。特にベトナムで生活をする人にとって知っておくと良い情報がたくさんあります。ぜひ最後までお読みください。
ベトナムの文化とベトナム戦争
ベトナムの文化は、ベトナム戦争の影響がいまだに色濃く関係しています。
ベトナム戦争は、アメリカを中心にした共和国連邦と中国ロシアを中心にした共産主義陣営との対立を背景にした代理戦争でもあります。
冷戦は終結し共産主義体制は崩壊しましたが、欧米と中ロとの関係はいまだに緊迫した状況になっています。
そんな中で現在のベトナムは非常に興味深い立ち位置を保っています。
ベトナムは社会主義でありながら中国を嫌悪している一方で、ベトナムは欧米諸国、日本、韓国とも良い関係を築いています。
社会主義政権の中で親米の立ち位置を示しているのは、世界でベトナムだけと言えるでしょう。
北部と南部の文化の違い
ベトナムは北部と南部で文化が全然違います。とりわけベトナム戦争終結後、北部は中国やソ連の影響が強く、南部はアメリカの影響の方が強くなっています。
それでベトナムの南部と北部は仲が悪く、お互いのことを悪く言っています。
ベトナムの文化と国民性
ベトナム戦争は北部の勝利で終わりましたが、それ以外にもベトナムは中越戦争で勝利を収めています。つまりベトナムはアメリカ・中国という2大大国に勝利を収めている国です。
それゆえにベトナムはプライドが高く、一見弱々しそうに見えますが、芯は強く自分の意見をはっきりと述べます。
特に北部の人は男性も女性もプライドが高く、お客さんや上司であっても横柄に思えるような態度を取る人も少なくありません。
また貧しい人でも、「自分にお金がない」と思われるのが嫌なようで、大勢の人に奢ったりお金持ちから高価なものをもらうのを嫌がったりします。
一方では儒教の影響で、貧乏人はお金持ちから施しをもらうのは当たり前と思っている人もいます。
ベトナム人は将来のことを計画できない
ベトナム人が将来のことを計画できないのは、ベトナム戦争の影響が大きく関係しています。
多くの国の人にとって終戦とは、第二次世界大戦の1945年を指しますが、ベトナムはその後も長きにわたって続いたベトナム戦争があります。
ベトナム戦争はようやく1975年のサイゴン陥落で終戦を迎えましたが、枯葉剤など戦争の後遺症はいまだに引きずっています。
このように日本人とベトナム人は終戦が30年も開きがあり、多くのベトナム人にとって「自分や自分の親の世代が戦争を経験している」ということになります。
そのようにいつ終わるかわからない戦争を経験していたベトナム人は、「将来のことを計画しても無駄である」ということを無意識に感じています。
それでベトナム人の多くは、遠い先の将来よりも目先の利益に関心があります。1週間先のことさえ計画できない人も多くいます。
不動産との契約で感じるベトナムの文化
筆者はこのような傾向を不動産と契約するときに、とても強く感じました。
ベトナムで不動産屋と物件を1週間後に見に行くと約束すると、次の2種類に分かれます。
一つ目は日にちをしつこく何度も確認してくるタイプで、お客さんが約束を守らないことを前提に行動をするタイプです。このタイプの人は真面目な不動産なので信頼できます。
もう一つは、これが大半ですが約束を破るベトナム人です。この場合1週間後に約束をしても絶対に忘れますので、こちら側が何度も確認のメールを入れる必要があります。
このように約束を破るベトナム人が多いのは、将来のことを計画する習慣がないからなので、本人は悪気が全くありません。
ベトナム人と仕事をするときや契約をするときは、これらのことを前提にしておかないと無駄な時間を費やす羽目になります。
ベトナムの文化と社会生活
ベトナムの生活は、日本人には理解できないところもたくさんありますが、知れば知るほど興味深い文化があります。
ベトナムの文化と社会や生活 お風呂
ベトナムはシャワーが基本で、バスタブのある家庭はほとんどありません。ただし高級住宅やマンションを中心に少しずつ増え続けています。
ベトナムのお風呂場は、シャワーとトイレがセットになっているバスルームが基本です。お湯はガスではなく、電気で沸かすホットシャワーとなっています。
ただ田舎や貧しい家庭ではホットシャワーもついていないので、冬でも水でシャワーを浴びています。
ほとんどのベトナム人はシャワーを毎日浴びていますが、シャンプーは日本よりも高い高級品ですので、過半数のベトナム人はシャンプーを2日〜3日に1回しかしていないようです。
ベトナムにいてお風呂に入りたくなったら、日系のホテルに行くと銭湯に入ることができます。価格は500円程度が相場です。
ベトナムに温泉文化はあるか
ベトナムには温泉文化と呼べるほどではありませんが、温泉がいくつかあります。ただし日本の温泉のような情緒のある場所を想像していくと、大抵の場合がっかりしてしまうことになるでしょう。
ベトナムの温泉はお湯の温度が低く、場所もあまり清潔ではありません。
ベトナムで本格的な温泉に入りたければ、中部のフエにある「ミーアン温泉」がおすすめです。
硫黄温泉で、日本の温泉をイメージして作られた施設なので、日本人でも楽しむことができます。
ベトナムの文化と社会や生活 正月
ベトナムは新暦の正月ではなく、旧正月を祝います。旧暦は月に30日しかありませんので、日付は毎年変わりますが、だいたい2月の中頃が旧正月になります。
旧正月はベトナム人にとって特別の時期で故郷に帰り、子供達はお年玉をもらい、家族や親族と時を過ごします。
休日が少ないベトナムですが、旧正月休みは長く毎年少なくても7日〜8日休みます。長い人だと何週間も休む人もいます。
旧正月はベトナムでは一年の一区切りになりますので、この時期に仕事を変えるなど新しいことをする人もいます。
また物価が上がり続けているベトナムですが、毎年旧正月の時期に電気代や水道代、また家賃などが値上がりしています。
ベトナムの文化と社会や生活 お土産
ベトナムは日本のようなお土産の文化はありませんが、日本のお土産を買ってくるととても喜んでくれます。
日本の製品ならなんでも喜んでくれますが、特に化粧品やシャンプー類は人気があります。また日本のお菓子やチョコレートも喜んでくれます。
ベトナム人の家に招待された時は、簡単な手土産を持っていくのが普通です。ベトナム人がよく持ってくるのは果物やヨーグルトなどです。
ただしベトナムは中国文化の影響で、「あまりすぎるほどたくさん持っていくのがおもてなし」と考えています。
それで人数分だけのお土産を持っていくと、「えっ、それだけ?」というような顔をされてしまいますので注意してください。
ベトナムの文化と社会や生活 教育
ベトナム人はとても教育に熱心です。貧しい家庭でも親が必死にお金を貯めて子供に高等教育をして欲しいと思っています。
日本に来ているベトナム人も、親族からお金を借りて日本語を学び、借金をして日本に来て、日本で稼いだお金を借金の返済にまわすという人もたくさんいます。
ベトナムの文化と社会や生活 結婚と出産
ベトナム人にとって結婚と出産は特別です。20代前半で結婚をするのは当たり前で、20代後半をすぎると親や親族からもかなり圧力をかけられるようです。
結婚をすると今度は親族から出産の圧力をかけられ、生まれた子が女の子なら、男の子を産むように圧力をかけられます。
圧力をかけられたベトナム人は、無計画のまま結婚や出産をする人もいて、すぐに離婚したり子供を親に預けて遠くに出稼ぎに行ったりします。
このような文化を背景に、結婚式ビジネスが密かな人気となっています。
結婚をする予定がないベトナム人が、業者にお願いすると親族を納得させるための偽の結婚式と偽の新郎(新婦)を用意してくれます。
ベトナムの文化と社会や生活 仕事
ベトナム人は仕事熱心ですが日本人のように会社に忠実ではなく、条件が合わなければすぐに仕事を辞めてしまいます。
また残業するという文化がなく家族を大切にするため、終了時間になるとすぐに帰宅して家族と一緒にご飯を食べます。
ベトナムの文化と社会や生活 地図
ベトナム人はあまり地図が読めません。タクシーの運転手でさえ地図を見せても地図ではなく、そこに書いてある住所を見ます。
代わりに住所はほとんど全てを把握しているので、住所を言えば市内ならどこでも連れて行ってくれます。
ただし時に間違えたり悪気もなく遠回りしたりすることもありますので、タクシーに乗るならスマホのグーグルマップを見ていた方が無難です。
ベトナムでのタクシーの利用の仕方は、「ベトナムのタクシーは安くて便利!料金相場や安全な会社などを紹介!」で詳しく解説していますのであわせてお読みください。
ベトナムの文化と社会や生活 チップ
ベトナムでは基本的にはチップの文化はありません。ただしホーチミンやハノイなど都市部や観光地を中心に、ホテルやマッサージをする人では外国人にはチップを請求してくる人もいます。
ベトナムの相場は次の通りです。
・基本的なチップの相場・・・1万ドン〜2万ドン(約50円〜100円)
・少し多めのチップの相場・・・5万ドン〜10万ドン(約250円〜500円)
ただし時には必要以上にチップを請求する悪質なベトナム人もいますので、注意してください。「ベトナムはチップが必要か。スマートに渡す方法も解説!」では、ベトナムのチップを払う場面について詳しく解説しています。
ベトナムの食文化とその特徴
ベトナムの食文化は隣国中国の影響と、植民地時代のフランスの影響が大きく関係しています。
お米も食べればパンも食べますし、お茶も飲めばコーヒーも飲みます。しかし食事には意外と多様性がなく、毎日似たようなものを食べているのは、日本人にとって理解しづらいところかも知れません。
ベトナムの食文化とその特徴 食事
ベトナムは日本と同じでお米が主食ですが、フランスの植民地時代の影響でバインミーと呼ばれるフランスパンも食べます。
また日本でも人気のあるフォーや生春巻きは米粉で作られています。ベトナム料理というとフォーを思い浮かべる人も多いと思いますが、ベトナム人がよく食べるのはブンと呼ばれる麺で、こちらもやはり米粉で作られています。
ベトナムは南北に細長く文化の違いがあり、食文化もまた微妙な違いがあります。
ベトナム北部ハノイの食文化
ベトナム北部は味付けは、基本的に塩辛いのが特徴です。有名なフォーはベトナム北部のナムディンというところで始まりましたが、行列ができるフォーの有名店はハノイにあります。
また犬食もハノイで最も人気がありますが、そのほか猫やネズミなども食べます。このようなゲテモノ系をよく食べるのは、やはり中国に近いからでしょう。
ベトナム中部フエ、ダナンの食文化
ベトナムの中部の味付けは辛い味付けが人気です。特に中部の都市フエはかつて王宮があったことから、フエ料理は洗練された味付けとして人気があります。
ベトナム南部ホーチミンの食文化
ホーチミンはココナッツミルクを使った甘い味付けが人気があります。また南部は果物が美味しく新鮮です。
北部のハノイでもベトナムの果物をは食べることはできますが、ホーチミン産なので少し値段が高いですが、ホーチミンの果物は安くて新鮮です。
フォーやバインミーもハノイとは違いますので、その違いを確かめながら食べてみるのも面白いかもしれません。
ベトナムの食文化とその特徴 コーヒー
ベトナムはフランスの影響でコーヒーがとても人気があります。
ベトナムは世界で第二のコーヒー輸出国であるということは意外と知られていないかもしれませんが、日本でもインスタントコーヒーや缶コーヒーの多くはベトナム産のコーヒー豆が使われています。
ただコーヒーは中部から南部に向けて栽培されていますので、北部よりも南部の方が人気があります。
ベトナムコーヒーの特徴
ベトナムコーヒーはロブスタ種と呼ばれるコーヒー豆を使っています。日本でよく飲まれるのはアラビカ種よりもロブスタ種は病気や害虫に強く大量生産できるため、価格も安価で販売されています。
ロブスタ種は少し飲みにくいので、ベトナムではバターやヌクマム(タイのナンプラーのようなもの)で焙煎をします。
それでベトナムコーヒーはブラックで飲んでもほのかに甘みがあります。ベトナムコーヒーはエスプレッソのように濃く抽出したものをコンデンスミルクをたっぷり入れて飲みます。
また北部では、ココナツコーヒー、ヨーグルトコーヒー、エッグコーヒーなども人気です。
ベトナムコーヒーとインドのチャイの奇妙な共通点
このようにベトナムコーヒーについて知ると、ベトナムコーヒーとインドのチャイは共通点があることに気づかれる方もいらっしゃるかもしれません。
インドでチャイが栄えたのはイギリスの植民地時代からですが、当時イギリスはインドで紅茶の葉を栽培して、高級の葉は全て自国に持って帰ってしまったので、インドに残ったのは、味の悪い葉だけになってしまいました。
そこでインド人はその質の悪い紅茶の葉をなんとか美味しく飲めるようにと、香辛料をブレンドし、ミルクと砂糖をたっぷり入れたチャイが出来上がりました。
ベトナムはそのような悲しい歴史はありませんが、ロブスタ種の独特の味をバター、ヌクマム、コンデンスミルクでごまかして飲んでいます。
しかしチャイもベトナムコーヒーも今ではそれぞれの国の大切な文化の一つです。日本人にも人気があり、自国の人がびっくりするような値段にも関わらず多くの人に親しまれています。
ベトナムの文化とカフェ
ベトナムは至る所にカフェがあります。昔ながらの路上や半露天で飲むカフェもたくさんありますが、ホーチミンを中心におしゃれなカフェもたくさんあります。
共産主義をモチーフにしたコンカフェ、ベトナムのスターバックスことハイランズコーヒーはベトナム全国にあるおしゃれなカフェです。
ベトナムコーヒーに飽きたら、アラビカ種を使ったアメリカンコーヒー(ca phe Mỹ)を飲むことができるカフェもたくさんあります。
ただしアメリカンコーヒーといっても日本人が好むドリップコーヒーを飲めるところはほとんどなく、基本的にはエスプレッソをペーストしたソフトエスプレッソ、カフェラテ、カプチーノです。
このようなカフェ事情は、やはりベトナムはフランス文化の影響が強いことを感じさせられます。
ベトナムの食文化とその特徴 お茶
コーヒーはフランスの植民地時代から始まったのに対し、ベトナムでは古くからお茶の文化があります。
ベトナム北部、ハノイからさらに100キロほど北上した場所に位置しているタイグエン省は、ベトナムでも最も有名なお茶の産地ですが、ここの人たちはお茶の発祥はベトナムのタイグエンであるといいます。
真偽はさておきベトナムでは日本以上にお茶が飲まれていて、ベトナムコーヒーのように濃く抽出したお茶を小さなお椀に入れて飲みます。
同じベトナムでも南部はコーヒーが人気がありますが、北部ではコーヒーよりもお茶が好んで飲まれています。
ベトナムの食文化とその特徴 箸
ベトナムは日本と同様箸を使う文化です。また料理の種類に応じてスプーンやフォークなどを使い分けるところも、日本ととてもよく似ています。
ただし日本が箸の食べる部分を下にしているのに対し、ベトナムは箸の食べる部分を上に置いてあります。
決して衛生的とはいえない場所に箸は置いてありますので、ベトナム人たちは箸の先を紙で拭いてから食べるのが習慣になっています。
ベトナムの食文化とその特徴 酒
ベトナム人にとってお酒やビールは文化となっています。ビールやお酒のの値段は世界的にもトップクラスに安く、その価格にびっくりする旅行者も少なくありません。
ベトナムで値段が安いものは生活必需品(=生きていくために必要なもの)なので、お酒やビールはベトナム人にとって生きていくために必要なものなのかもしれません。
ビールは配給時代の名残で、常温のビールに氷を入れて飲むのが一般です。またお酒やビールは男性が飲むものというイメージが強く、女性がお酒を飲むとびっくりする人もいます。
夜になるとあちこちで聞こえる「モッ、ハイ、バー、ヨー!モッ、ハイ、バー、ヨー!」という掛け声は、お酒を飲んで乾杯する前の合図です。
ベトナムの食文化とその特徴 竹
竹は中国や日本のイメージが強いかもしれませんが、ベトナムでもまた竹は文化に染み込んでいます。
家具、籠、楽器、水タバコ、ボールペンなど、竹は様々な用途で使われています。
竹の子料理も人気で、竹を豚足と一緒に煮込んだスープ、麺類の具材、また竹の子の酢漬けなど幅広い食材のひとつとして楽しんでいます。
ベトナム料理は種類が少ない?
ラーメン、カレーライス、ハムカツ、中華丼など日本人は海外の食事を独自の文化にアレンジして、新しい食事をいくつも作ってきました。
このように食事のバリエーションが豊かなのは世界的にも少し珍しく、国によっては「日本は食事のメニューがありすぎて疲れる」と感じる人もいるようです。
ベトナムはバインミーや空芯菜炒めなど中国やフランス料理の影響を受けている料理がたくさんありますので、日本と同じように食事メニューが豊富というイメージがあるかもしれませんが、実際はそうではありません。
ベトナム庶民の食堂に行くとその多くはメニューを置いてありませんが、そのことを気にするベトナム人はほとんどいません。皆いつものものを食べます。
これは近所の馴染みの場所だからではなく、遠くに出かけても同じことをします。同じメニューしかないことを知っているからです。
ベトナムではロッテリアやケンタッキーが人気ですが、よく見てみるとロッテリアに行くベトナム人はチキンバーガーがほとんどでハンバーガーを食べている人はわずかです。
これはベトナム料理の中にガーザンというフライドチキンがあるためで、結局のところ新しい料理ではなく馴染みのある食材を食べています。
一部の富裕層は海外のいろいろな食べ物に興味を持ち始めている人も増えていて、特に日本の寿司や刺身は人気があります。子供の頃にそんな機会のない人は、大人になっても外国の料理を食べるのを嫌がります。
このように日本人の旅行者にとってベトナム料理は最初はなんでも美味しく感じますが、1週間もすると似たような料理に飽きがはいってきます。
特に長くベトナムに在住する人にとっては、「やっぱり日本料理が一番」と再確認する人がほとんどです。
歴史から見るベトナムの文化
ベトナムは世界史の中であまり注目されていない国のは、長い間中国の支配下にあったからです。
しかし近年になって経済的に急成長をして、日本との友好関係も目立ってきています。
そんな中改めてベトナムの歴史から文化がどのように影響しているのかを考えてみましょう。
歴史から見るベトナムの文化 中国の文化との関係
世界の大国中国に戦争で勝ったことを誇りにしているベトナムですが、ベトナムは長く中国の支配下におかれていたので、中国から強い影響を受けています。
そもそもベトナムという漢字(ベトナムは現在でも7割は漢字で記すことができます)は越南と書きます。
この「南」というのは「中国から見た南」であり、中国人にとってベトナムはいまだに属国の一つのようです。
なので、中国人が中国からベトナムに行くときは「外国に行く」という表現は使わないで、単に「下った」という表現を使うのも興味深いところです。
歴史から見るベトナムの文化 日本との関係
ベトナムは最も親日度が高い国の一つです。日本に対して悪感情を抱いているベトナム人はほとんどおらず、むしろ日本の文化に対して深い関心を示しています。
株式会社電通(東京都港区)は、日本の文化や強みを生かした商品やサービスを海外展開する「クールジャパン」関連事業の一環として実施した「ジャパンブランド調査2018」の結果を発表した。
Viet JO 2018年05月02日 05:48 JST配信「ベトナム、今年も親日度1位―電通「ジャパンブランド調査」」より
(省略)
親日度が最も高い地域について、2014年と2015年の2年連続で1位だったベトナムは2016年に2位へと後退したが、2017年には1位へと返り咲き、2018年も台湾、タイ、フィリピンと並んで1位だった。
https://www.viet-jo.com/news/nikkei/180427184905.html
ベトナム人は日本のアニメが好きで、日本のアニメがきっかけで日本に興味を持つようになったという人がたくさんいます。
また日本の子育ても注目を集めていて、「日本人の子供のように行儀よく育てる方法」というような本が人気を集めています。
そしてベトナム人は日本ブランドに絶対的な信頼を寄せています。特にバイクのホンダは大人気で、「セーホンダ」と言えばバイクを意味します。
また「日本の食材は絶対安心」で「日本の電化製品や機械はハイクオリティー」と信じていますが、高級品なので、一般の人たちには韓国のサムスンやヒュンダイが人気があります。
歴史から見るベトナムの文化 タイとの関係
ベトナムは主に中国の影響を受けているのに対し、タイはインドの影響を受けているので距離としては近いですが両国には文化の違いが見受けられます。
ベトナムもタイも共に仏教国ですが、ベトナムは日本と同じ大乗仏教で宗教に熱心な人は少ないのに対して、タイは小乗仏教で国民全体で宗教に熱心です。
ただし東南アジアにおいて急速に経済発展をすでに遂げて成功しているタイを、ベトナムは見習いたいと思っています。
特にタイのバンコクは都市計画を成功させていますが、ベトナムはやっと電車の整備に乗り始めた頃です。
ベトナムのハノイも近々タイのバンコクのように発展することを願うばかりです。
歴史から見るベトナムの文化 キン族
ベトナムは54もの民族がいます。人口が10倍を優に上回る中国でさえ56の民族しかいないことを考えると、かなりの多民族国家といえるでしょう。
そんな多民族国家のベトナムにおいて9割近くを占めるのはキン族で、彼らがベトナムの政治的な実権を握っています。
日本人にも馴染みのある「アオザイ」は、キン族民族衣装であり少数民族にはそれぞれ民族衣装があります。
また日本人がベトナム語と呼んでいる言語は厳密にいうと「キン語」であり、その他53の少数民族もそれぞれ自分たちの言語を持っています。
少数民族のほとんどは、子供の時からキン語を学んでいますので流暢に話せますが、それでもやはり母語ではありません。
また貧しい家庭や勉強よりも仕事を優先させられた、ベトナムの少数民族の女の子はキン語をほとんど話せないという人もいます。
それで多くの人が思っているベトナムの文化とはキン族の文化です。その他の53の少数民族もそれぞれとても興味深い文化を持っています。
日本にも少数民族はいますが数が圧倒的に少なく認知度も低いので、多くの人はあまり自分の民族について考える機会はありません。
ベトナムの少数民族の文化を知って、自分の国の少数民族について考えてみるのもいいかもしれません。
歴史から見るベトナムの文化 若者が多い
ベトナムは平均年齢30歳という若々しい国で、超高齢化社会を迎える日本にとっては羨ましい限りですが、それには少し悲しい歴史もあります。
ベトナムは30代以下が非常に多いのですが、一方で高齢者も増えているという問題があります。つまり若者から高齢者の間がかっぽりと少なくなっています。
これにはベトナム政府の政策や経済成長も関係していますが、ベトナム戦争の影響も関係しているのでしょう。
日本のように若者や子供が少ないと嘆いていられるのは、日本が平和な証拠なのかもしれません。
ベトナムの文化と日本の文化の違い
日本とベトナムの文化の違いについては、この記事で何度も取り上げてきましたが最も大きな違いは、日本は弱者優先のおもてなし文化であるにに対し、ベトナムは強くなければ生きていけないというところにあります。
例えば日本は交通においては歩行者優先で、歩行者よりは自転車、自転車よりはバイク、そしてバイクよりは車、大型車と続きます。
一方ベトナムはバスや大型さが最強で力のないものは自分の身は自分で守らなければなりません。
また日本ではお客様は神様でお客さんもそれを期待していますが、ベトナムでは「強い人が強い」というシンプルな構造となっています。
お店の人が腰が低ければ客につけ上られますが、お客側が腰が低いとお店の人がつけあがってきます。
そんな文化の違いを知ると、日本のおもてなし文化が素晴らしいことに気づく一方で、「そこまで本当にする必要があるのか」ということも考えさせられます。
【まとめ】ベトナムの文化は面白い!
今回はベトナムの文化について解説しました。
- ベトナム戦争はアメリカと共産主義政権が関係する戦争で、今でもベトナムの文化に色濃く影響しています。
- ベトナムは旧正月、結婚、仕事など日本にはない文化があります。
- ベトナムの食文化は食大国の中国とフランスの影響を受けていますので、美味しい料理がたくさんあります。
- ベトナム人は中国人があまり好きではありませんが、文化の影響を最も飢えているのは中国です。
ベトナムは世界の中で、アメリカに戦争に勝った唯一の国であり、社会主義でありながら中国と仲が悪く、親米です。
このようにとても興味深い文化的背景を持っていますが、ベトナムは世界的に発言力が弱いのであまり注目されていません。
この記事を読んだことを機会に、当サイトの他の記事を参考にしながら、魅力的で興味深いこのベトナムという国をさらに学んでみませんか?