
マレーシアは、イスラム教徒に関わる生活習慣が多く見られるのが特徴です。
お祈りの時間になると「コーラン」が聞こえてき、街を歩くとヒジャブを付けた女性とすれ違います。
マレーシア文化を理解するには、まずはマレーシアの65%を占めているイスラム教徒の文化や生活習慣を知ることが重要です。
イスラム教徒は、
・豚肉・アルコールを食さない
・1日に5回のお祈り
の戒律を中心に生活がまわっています。
またイスラム教徒は、左手を「不浄の手」として使用しませんが、インド人のヒンドゥー教徒もその点は同じです。
その他に、
食文化では「ハラルマーク」が付いている食品が多いかと思えば、豚肉を使う「ニョニャ料理」があったり・・・・・実に多種多彩です。
忘れてはいけないのが、マレーシアは多民族国家ということ!
華人もいればインド人や少数民族も共存していて、様々な生活習慣があるのです。
マレーシアの文化を正しく理解するには、
- マレーシアでのイスラム文化の戒律
- マレーシア文化の歴史を象徴するプラナカン文化
- マレーシアのマレー人・華人・インド人・少数民族の文化の特徴
- マレーシアを衣・食・住から見る文化と祭日や行事
- マレーシアの豊富で多様な手工芸・音楽・舞踊・娯楽の伝統文化
- マレーシア文化の世界文化遺産
- マレーシア文化が知れる「文化村」
などを知ってこそ、本当のマレーシアの姿が見えてくるはずです。
ここでは、マレーシアに住む人々や生活に関わる文化を、徹底的に解説していきます。
Contents
マレーシアはイスラム教文化が生活に根付いている国
マレーシアは多民族国家ゆえに、それぞれの民族間で様々な宗教が共存しています。
マレーシアの人口の65%を占めるマレー系の人々は、基本的にイスラム教徒です。
そのためマレーシアには、イスラム教徒に関わる生活習慣が多く見られるのが特徴です。
街を歩くとヒジャブと呼ばれるスカーフを被り、髪を隠した女性とすれ違います。
お祈りの時間になると、モスクから時間を告げる「コーラン」が聞こえてきます。
そんなマレーシア文化特有の日常を、具体的にとりあげて見ていきましょう。
ハラルマークとは許されたもののマーク
イスラム教では、生活習慣や食事にまつわる規定がいくつも存在します。
マレーシアで売られている食品には「ハラルマーク」が付いているものが多く、イスラム教徒の生活にとっては欠かせないサインともいえるものです。
ハラルとは「許されたもの・こと」という意味。
食品についていえば「食べてもよいもの」を指します。
イスラム教徒が安心して口にできる食品であることが分かるように、ハラルマークがつけられているのです。
逆にタブーのものは「ハラム」といいます。
ハラル認証は食品だけに限らず、店舗や建物・食肉処理場に対しても発行されています。
ホテルの矢印マークの正体はお祈りする方向
マレーシアのホテルには、キブラッといって、メッカの方角を指している矢印のマークが描かれています。
イスラム教徒は、メッカの方角に向かってお祈りを捧げます。
そのため各ホテルの客室にはイスラム教徒のゲストにも分かるよう、天井や机の引き出しの中に矢印が付けられているのです。
マレーシアでは当たり前の習慣ですが、これもイスラム教徒が多い多民族社会ならではの光景です。
朝はコーランで始まり1日に5回のお祈り
イスラム教徒は、1日5回礼拝をします。
朝は礼拝を呼びかけるコーランの声で目が覚めます。
コーランはイスラム教の聖典のことなので、実際には「アザーン」が正解です。
「アザーン」は礼拝への呼びかけで、礼拝の時間の前になるとモスクからアザーンが響き渡ります。
- 早朝の礼拝「ファジュル」
- 正午過ぎの礼拝「ズフル」
- 遅い午後の礼拝「アスル」
- 日没後の礼拝「マグリブ」
- 就寝前の礼拝 「イシャー」
ただし、礼拝時間は日によって変わっていきます。
エリアによっても時間がずれていくので、新聞に礼拝時間が掲載されています。
礼拝の時間帯は、テレビ番組を中断してアザーンが流れます。
また、毎週金曜日の正午の礼拝は、金曜礼拝といって一週間で最も重要なお祈りが行われます。
そのため、政府機関や一般企業の中には、金曜日だけ2時間の昼休憩を設定しているところが多くあります。
マレーシアでは仕事よりも、礼拝時間を優先することが当たり前の環境があり、イスラム教徒は「祈りの時間」を中心に生活しています。
マレーシア文化の歴史を象徴するプラナカン文化
「プラナカン文化」発祥の地は、マラッカです。
マラッカは古くから、多くの国の商人が集まる“東南アジアの主要な貿易港”として栄えた街です。
15世紀に中国からビジネスのチャンスを求めて、マラッカに多くの中国人が移住してきたのが始まりです。
移住した中国系と原住民との混血の子孫たちは、「プラナカン」と呼ばれ巨大な富を築きました。
19世紀になりプラナカンたちは、世界中から様々な異国の物資を取り入れ、“独自の文化”を育んでいきました。
その後、マレー半島が植民地となる時代もプラナカン人は逞しく生き抜き、東洋と西洋の文化を融合させた独自の「プラナカン文化」を生み出しました。
そんなプラナカン文化は、マレーシアの歴史を象徴する文化となり、当時の面影がそのまま残されたマラッカの街並みは世界遺産に登録されています。
イスラム文化の言葉に見るマレーシアの歴史の歩み
マレーシア人は、母語であるマレー語と英語に加え、中国語やタミール語などいくつもの言語を操る「トリリンガル」が多い国です。
その背景には、植民地時代を経て独立した多民族国家という歴史か関係しています。
イギリスの植民地時代は、英語が公用語でした。
独立後は母語のマレー語が公用語となり、英語は準公用語としての位置づけになっています。
一方で、同民族間では民族の母語で話すというように、相手に合わせて言語を使い分けています。
基本的にマレーシアは英語が通じる国ですが、マレー人の英語は「マングリッシュ」と呼ばれるマレーシア英語で、イギリス英語が訛ったものになっています。
マレーシアの魅力といえる異文化の歴史と共存
貿易ルートの重要拠点であったマレーシアは、多様な文化が混ざり合う国となりました。
その土台に、何世代にもわたり多くの民族が調和して暮らしてきたことで、互いに影響を与え合うことで、マレーシア特有の文化が形成されてきたのです。
そのため、人から建築様式まで全てのものが、様々な形で伝統と融合の文化が反映しています。
マレーシア文化を理解するには、まず、そこに住む人々について知る必要があります。
マレーシアのマレー人文化の特徴
マレー人は、マレーシアの総人口の65%を占めています。
マレーシアでいうマレー人は、イスラムおよびマレーの伝統を受け継ぎ、マレー語を話し、マレー人を先祖に持っている人たちです。
一般的にマレー人は、次のような特徴があるといえます。
・儀式や作法を重んじる価値観をもつ
・礼儀正しく謙遜・紳士的
・多民族人に対して寛容
マレーシアの華人文化の特徴
マレーシア中国人は、人口の約25%を占めています。
そのほとんどが、19世紀にスズ採掘の労働力として移民してきた中国人の末裔です。
マレーシアの歴史的には、街を作ってそこに住むのは主に中国系の人々でした。
そのため、ほとんどの街の経済に中国系の人々が関係しています。
華人は出身地や民族により、一定の特徴があるといわれますが、一般的に華人には、次のような特徴があるといえます。
・勤勉
・お金を尊ぶ
・本質が「商人」
マレーシアのインド人文化の特徴
マレーシア・インド人は、人口の約10%を占めています。
そのほとんどが英国の植民地時代にゴム園労働者として、南インドから移住したタミル語を話す移民の末裔です。
彼らは、インドのカースト制度から逃れるためにマレーシアにやって来ました。
それでもインド系は、全体的にあまり裕福な層ではないようです。
一般的にインド人は、次のような特徴があるといえます。
・現地の文化や風習に染まらない
・マイペース
マレーシアの先住民の少数民族は無数にある
マレーシアの先住民族は、大きく分けて3つに分けられます。
■マレー半島の先住民族「オラン・アスリ」
オラン・アスリは、ネグリト・セノイ・プロトマレーの3つの主な部族で構成されています。
それぞれが独自の言語と文化を持ち、漁業や農業・半遊牧生活などを営んでいます。
■ボルネオ島の最大の先住民族「サバ」
サバは、カダザン・ドゥスン・バジャウ・ムルッの4つの主な部族で構成され、水田耕作やタピオカ栽培などを営んでいます。
サバのカダザン・ドゥスンで、州人口の約30%を占めています。
バジャウは、海の神を崇める漂海民族で、「シー・ジプシー」と呼ばれ、ムルッ族は首狩り族の最後の民族です。
■サラワク州に住む「ダヤック」
「ダヤック」は、イバン、ビダユ、オランウルの3つの主な部族で構成されています。
多くの人々は、伝統的なロングハウスに住み、20~100 世帯が同居しています。
イバン族は、サラワク州の人口の 30 %を占める最大の民族グループです。
昔は、首狩りや海賊行為で名をはせた恐ろしい戦士の部族でした。
反対にビダユ族は、おおらかな気質で争いを好まず、首狩りをしていた時代には精霊を信仰し、農業か狩猟で生計を立てています。
一方、オランウル族はサラワクの上流に暮らす部族で、ボルネオで最も芸術的に優れた部族といわれています。
マレーシア文化を衣・食・住から知る
マレーシアは、それぞれの民族が伝統文化を持ちながら共存し合って暮らしています。
それぞれの伝統文化を、衣・食・住に分けて見てみることで、よりマレーシアの文化を知ることができるはずです。
マレーシアの多彩な伝統的な民族衣装の文化
伝統的な金糸を編んだマレーシアの伝統衣装と布製品は、驚くほど多様で色鮮やかで王室専用の衣装に用いられていたほどです。
■マレー系・・・・バジュ・ケバヤ(伝統的な“ろうつけ染めの模様”)
マレー人女性の伝統衣装はバジュクロン(トップスとスカートのツーピース)
スカートは、ひざから下にスリットが入ります。
また、女性がかぶるヒジャブは色や柄が様々で、服装に合わせてコーディネートできます。マレー人男性の伝統衣装は、バジュマラユ(トップスとパンツのスーツタイプ)
通常、サンピンと呼ばれる腰に巻く短いサロンと併せて用いられます。
また、ムスリムの男性がかぶる帽子はカタヤと呼ばれます。
■中国系・・・・チョンサム(色鮮やかで多様な模様のチャイナドレス)
きらびやかな絹や刺しゅう入りサテン、その他の繊細な生地が用いられます。
■インド系・・・・サリー(左肩から垂れ下がるように身体に巻きつける細い布)
サリーに用いる布は、多様な色と模様のデザインがあります。
クルタは男性の正装用伝統衣装で、木綿やリネンで作られる長い膝丈のシャツです。
■アラブ系・・・・ヒジャブ(スカーフに似た素材の布を頭に覆う女性の一般的スタイル)
■ババ・ニョニャ・・・・ケバヤ(伝統のオートクチュールとも言えるエレガントな衣装)
伝統衣装の複雑な装飾は、ヴェネチアのレース編みと同等の美しさがあります。
■サラワク・・・・個性豊かな民族衣装が多数存在する
サラワクは、イバン族のプア・クンブやマレー人のソンケット、カラフルなビーズのアクセサリー、伝統的な宝石、ヘッド用装飾品が有名です。
■サバ・・・・多くの部族の地域独自の衣装や装飾品などが多数存在する
居住地が近い部族同士は、文化が異なっていても伝統衣装に類似性があります。
■オラン・アスリ・・・・自然の素材を用いた衣服を身に着けている
森の奥に居住する民族は、木の樹皮を用いた衣服や草のスカートを身に着けています。
マレーシアの「グルメ天国」といわれる食文化
様々な民族が暮らすマレーシアでは、それぞれの民族がマレーシアという土地に根差しながら民族の味を守ってきました。
そのためマレーシアは、食文化のバリエーションも豊富で「グルメ天国」といわれているほどです。
マレーシアを代表する料理には「ラクサ」や「ナシレマッ」があります。
「ラクサ」は、各地方のラクサを集めた専門店もあるほど、幅広い世代や人種から愛されている麺料理です。
「ナシレマッ」は、一般家庭でも普通に食べられているココナッツミルクで炊いた米料理で、マレーシアのどこでも食べられる料理です。
マレーシア料理のなかでも異色を放つ料理が、マレーと中華が融合した「ニョニャ料理」です。
マレーシアでは、中国系と原住民との混血の子孫を「ババ・ニョニャ」と呼びます。
「ババ・ニョニャ」の人たちが作り出した料理を、「ニョニャ料理」といいます。
ニョニャ料理は中華でもマレー料理でもない、マレーシアの歴史が生み出した伝統料理です。
「ニョニャ料理」は、主に中華料理の食材を使用しますが、そこにココナッツミルクやサンバル・ウコン・レモングラス・パンダナスの葉など、マレー系のスパイスが加わります。
また、イスラム教では禁じられている豚肉を使うのもニョニャ料理の特徴です。
マレーシアの伝統建築文化
■マレーの伝統建築
伝統的なマレー建築は、家屋の風通しが良くて涼しく高床式建築を採用しています。
伝統家屋で代表されるのが、スリ・メナンティ宮殿。
この宮殿はネゲリ・センビランの堅材が用いられ、釘がまったく使用されずに建てられています。
多くのマレー建築やイスラム建築には、ムーア建築の要素が組み込まれていて、プトラジャヤの多くの建物やモスクで見ることができます。
■中国の伝統建築
マレーシアの中国建築には、伝統様式とババ・ニョニャ様式の2種類があります。
伝統建築は、チェンフーテン寺院などマレーシア全土に見られる中国寺院があげられます。
ババ・ニョニャ様式の建物は、マラッカやペナンの古い家屋の多くに見られ、中庭や美しく色鮮やかなタイルが特徴です。
■インドの伝統建築
マレーシアのヒンズー教徒の多くが、南インドからの移民の子孫なので、マレーシアのヒンズー寺院には南インドの色鮮やかな建築様式が用いられています。
なかでもクアラルンプールのスリ・マハマリアマン寺院は、国内で最も装飾の美しいヒン・ズー教寺院です。
装飾には、複雑な彫刻や金の装飾・手描きのモチーフ、イタリアやスペインから運ばれた上質のタイルが使われているのが特徴です。
■サバやサラワクの先住民の伝統建築
先住民の建築の特徴は、長屋とウォータービレッジです。
内陸河川付近で生活する部族は、伝統的なコミュニティーの家屋の長屋で20人~100人の家族が暮らしています。
川岸や海岸で生活する部族は、高床式の広い廊下で繋がるウォータービレッジで暮らし、移動にはサンパンと呼ばれるカヌーを使います。
マレーシアの占領・植民地時代の建築
●ポルトガル占領地時代の代表建築・・・・マラッカの「ア・ファモサ要塞」
●オランダ占領地時代の代表建築・・・・マラッカの「スタダイス」は東洋最古のオランダ建築物
●イギリス植民地時代の代表建築・・・・クアラルンプールの「スルタン・アブドゥル・サマド・ビル」
美しいムーア様式の建築物は、英国統治時代に植民地秘書官のオフィスとして使用されました。
マレーシアの豊富で多様な伝統手工芸文化
マレーシアは、豊富で多様な伝統手工芸品を誇ります。
職人のほとんどがイスラム教徒なので、マレーシアの手工芸品はイスラムの影響を強く受けています。
イスラム教は、芸術で人の形を表現することを禁止しているため、葉・花・動物など自然をモチーフにしたデザインが多く見られます。
■伝統陶器
人気の伝統陶器には、ペラのラブ・サヨン(ヒョウタンの形をした黒の土瓶)や、ベランガ(丸い形と広い縁が特徴)があります。
■木工品
広大な熱帯森が豊富なマレーシアは、様々な特徴ある木工品でも有名です。
■金属工芸品
現代的な装飾のアイテムや台所用品、その他にも様々な伝統的な美術品があります。
■手編み工芸品
地域の植物や竹・籐・パンダン・メンクアンの葉などを使って、バッグやカゴ・マット・帽子・サジ・セパラガのボールなどが作られます。
■布製品
マレーシア伝統の布製品は、バティクやソンケット、プア・クンブアン・テカなどがあります。
ソンケットは、バティックと並んで知られるマレーシアの伝統工芸品で世界的に人気です。
これらの布製品は、オートクチュールの衣服から靴・カーテンや寝具にいたるまで、あらゆる装飾アイテムに使用されます。
■宝石・アクセサリー
マレーシアの手製アクセサリーは魅力的で、革製品からビーズのネックレス・金銀の繊細な宝石にいたるまで豊富な種類があります。
マレーシアの音楽と舞踊文化
マレーシアの多民族文化の伝統は、音楽と舞踊に最も顕著に表れています。
■マレーシアの伝統舞踊
様々な民族の独特な舞踊は、とてもエキゾチックで魅惑的です。
また、移住して来た中国人・インド人・ポルトガル人の伝統舞踊も、マレーシア文化の伝統の一部として溶け込んでいます。
●マレー・マヨン・・・タイ南部のパタニから伝わった王妃を楽しませる舞踊
●クダ・ケパン・・・・ジャワ人によりジョホール州に伝えられた伝統舞踊
●ザピン・・・・イスラムの影響が最も反映されているマレーシアの伝統舞踊
●ジョゲ・・・・マレーシアで最も人気の伝統舞踊
●タリアン・リリン・・・・「キャンドルダンス」とも呼ばれる女性の踊り
●シラット・・・・マレー最古の伝統武術の一つの踊り
●中国獅子舞・・・・チャイニーズ・ニューイヤーで踊る獅子舞
●インドのバハラタ・ナティアム・・・・古代インドの叙事詩に基づく踊り
●スマザウ・・・・セバ州のカダザン族に伝わる宗教儀式や社会行事での伝統舞踊
●バンブーダンス・・・・人気の伝統舞踊の一つ
●オラン・アスリ・・・・マレー信仰に根差す精神世界と交信する儀式の伝統舞踊
■マレーシアの伝統音楽
マレーシアには、ガムランとノバの2つの伝統オーケストラが存在します。
ガムランは、打楽器と弦楽器を用いた伝統のオーケストラです。
ノバは、スルナイや管楽器を用いて、壮大で厳粛な音楽を演奏する高貴なオーケストラです。
マレーシアの伝統的な娯楽や遊びの文化
マレーシアの強い連帯感は、伝統的な娯楽や遊びに反映されています。
現在も地元の子供たちは、伝統的な遊びをしています。
●シラット・・・・マレーの伝統武芸は国際的スポーツでもある
●セパタクロー・・・・竹を編んだボールを腕と手以外の身体でパスし合う遊び
●ワウ・・・・マレーシア東海岸のケランタン州で人気の伝統的な凧
●ガシン・・・・重量約5kgの巨大な独楽を回して棒の上に移し替える遊び
●ワヤン・クリ・・・・インド古代叙事詩が演目の人形芝居と影絵を合わせた芝居
●コンカ・・・・地面に穴を掘りタマリンドの種で古代女性が行った数学的な遊び
●セパ・マンギ・・・・サバのバジャウ族とイラヌン族の男性が継承する屋外遊び
マレーシア 文化遺産は世界文化遺産
マレーシアの国土は「マレー半島南部」と「ボルネオ島の北部」で構成され、4つの世界遺産があります。
『マレー半島の2つの文化遺産』
①マラッカとペナン島のジョージタウンを合わせた「マラッカ海峡の歴史都市」
②200万年前の遺跡を見ることができる「レンゴン渓谷の考古遺跡」
『ボルネオ島の2つの自然遺産』
①キナバル自然公園
②グヌン・ムル国立公園
ここでは、文化遺産にスポットをあてて紹介します。
マラッカ海峡の歴史的都市群―マラッカとジョージタウン
周辺諸国にも世界遺産都市は存在していますが、その多くが史跡です。
マレーシアの「マラッカ海峡の歴史的都市群」が他と違うところは、現在も多くの住民が暮らす州都であるというところです。
そのため、世界遺産区域内には公共建築や宗教建築の国家遺産以外に、多数の民間建築が存在しているのが特徴です。
マラッカとジョージタウンの2つの都市は、世界中の船が行き交うマラッカ海峡に隣接しています。
■「マラッカ」⇒国家遺産指定の公共建築と宗教建築が多い
マラッカで一番のメインとなるオランダ広場を中心としたエリアが世界遺産として登録されています。
■ジョージタウン⇒国家遺産が少なく膨大な数の住宅や店舗が世界遺産地区に存在する
世界遺産・食・リゾートと、総合的に楽しめるのがジョージタウンです。
レンゴン渓谷の考古遺産
レンゴン渓谷からは、200万年近くに及ぶ初期人類の生活の跡が発見されました。
アフリカ大陸以外では最も古い初期人類遺跡で、貴重な先史時代の洞窟の壁画や石器をレンゴン考古学博物館で見ることができます。
マレーシアで文化体験するなら文化村に行こう!
「生きている博物館」として知られる文化村は、現地の文化や生活様式を学ぶのに最適な場所です。
マレーシアの主な文化村を紹介します。
マレーシア:クチンの「サラワク文化村」
サラワク文化村は、サラワクの代表的な7つの民族(イバン族、ビダユ族、プナン族、オラン・ウルー族、メラナウ族、マレー人、中華)それぞれの伝統的な住居を復元した文化村です。
サラワク州はマレー半島からの人や物の流入が制限されているだけに、都市開発のスピードが緩やかな地域です。
そのためか、サラワク州は少数民族の文化のショーケースと言われ、サラワク王国時代に建設された建築物だけでなく、食文化を含む伝統的な都市文化が多く残っています。
マレーシア:ジョホール・バルの「マレー文化村」
マレー文化村は、マレーシアの文化が凝縮された施設で、南国ならではの珍しい植物も見れ、観光客向けに舞踊も披露されています。
また、ろうけつ染め「バティック染め体験」もできます。
唯一、日本語が話せるスタッフがいるため、マレーシアの文化を詳しく説明してくれるので、日本人観光客にとってはチェックしておきたい施設のひとつでしょう。
マレーシア:シアルの「マリマリ文化村」
マリマリ文化村は、コタキナバルの森の中にあるボルネオ先住民族の文化に触れることができる文化村です。
マリマリとはマレー語で「こっちに来てください」という意味です。
ここでは、ボルネオで暮らす32の先住民族の内5つの民族(カダザン・ドゥスン族、ルングス族、ルンダヤ族、バジャウ族、ムルッ族)の村が再現されています。
民族舞踊ショー(バンブーダンス)があり、ダンスに参加したり竹筒料理も食べることができます。
マレーシア:ポートクランの「マハ・メリ文化村」
マハ・メリ文化村は、ポートクランの「マハ・メリ族」の生活や、伝統文化に触れることができるジャングルに囲まれた文化村です。
マハ・マリ族は、オラン・アスリの18ある少数民族の一つで「ジャングルの人」という意味があります。
木工細工・葉っぱの折り紙細工などの文化や、定住しない種族として知られています。
この村では、踊りや音楽の体験、木工細工や折り紙細工のほか、吹き矢も体験できます。
マレーシア文化での行事や祭日は多種多彩
マレーシアの文化で生活習慣についてご紹介します。
行事や祭日・イベントなど、マレーシアならではの暮らしの文化を取りあげていきます。
多宗教文化が生活に根付くマレーシアの最大行事
多民族国家のマレーシアでは、各民族でのイベント行事が1年中楽しめるのも特徴のひとつです。
■タイプーサムフェスティバル・・・・本国インドでは禁止となっているヒンドゥ教の奇祭苦行を行うことで神々に感謝をする祭りで、体や頬・舌などに釘や針を刺して参拝します。
苦行は他国では禁止されていますが、マレーシアでは祭りとして続けられているため、この日はバツー洞窟スリ・スブラマニアム寺院に向かう272段の階段が、世界各国からの参拝客や観光客でいっぱいになります。
■チャイニーズニューイヤー・・・・中国系の人々にとって一番大切な行事この日は赤や金など派手な色で飾られ、伝統菓子やグッズなどが大量に販売されます。
■ハリラヤ・プアサ・・・イスラム教徒最大の断食(ラマダン)と呼ばれる祭り日中は飲食・煙草をせず、夜は家族揃って食事しモスクで祈りを捧げます。
マレーシアの祝祭日
マレーシアは、マレー系、中国系、インド系の民族が住むので各民族に合わせて祝祭日があります。
国民のほとんどが、それぞれの宗教暦に基づくので、西暦での祝日の日付が毎年変更になるため注意が必要です。
【マレーシアの主な祝祭日】
■1月 ・ 新正月(ニューイヤーズデー)
・中国正月(チャイニーズニューイヤー)
■2月 ・ムハンマド聖誕祭
■5月 ・ 勤労感謝(レイバー・デー)
・釈迦生誕祭(べサク・デー)
■6月 ・国王誕生日
■8月 ・国家記念日(ナショナルデー)
■10月 ・断食月の終了日(ハリ・ラヤ・プアサ)
・メッカ巡礼者を祝う日(ハリ・ラハ・ヤジ)
■11月 ・ヒンズー教光の祭典(ディーパバリ)
■12月 ・クリスマス
マレーシア国民としての国民奉仕制度は徴兵制
国民奉仕制度は、マレーシア人という誇りと団結心を図る目的の徴兵制です。
ただしマレーシアの場合、「徴兵制」とは名ばかり。
18歳になった時点で全ての国民が国防省の管理下に置かれ、各駐屯地など軍の施設で6ヶ月間共同生活をし「協調性」や「規則正しい生活」を身につけます。
その間に行われることは、道路や公園の清掃などの公共事業に従事します。
マレーシアと日本の文化の違い
マレーシアは多民族国家なので、各民族の宗教によるマナーがそれぞれ違うため、食習慣や生活習慣には多くのタブーも存在します。
マレーシアへ旅行する時に日本文化との違いで、気をつけたいマナーやルールをまとめてみました。
マレーシアのトイレ事情
●トイレに便座は無いか壊れている!
マレーシアでは、まだ洋式トイレに慣れていないため、便座の上に乗って用を足す人が多くいます。
そのため便座は、無いか壊れて割れているか汚れている場合がほとんどです。
●ホテル以外はトイレットペーパーが付いていない!
マレーシアのトイレは、基本的に水洗トイレです。
都会の水洗トイレでも、現地の人は水を使ってキレイにするため、トイレットペーパーがないのが普通ですので、ポケットティッシュは必需品です。
●水が流れない場所もある!
水が流れない場合は、大きなバケツに水が溜めてあるので、それを使って流しましょう。
使ったら、水を溜めておく気遣いも忘れないように!
●トイレの蛇口とホース
イスラム教徒とヒンドゥー教徒は、トイレではホースを使い水で洗った後、左手を使って綺麗にしてトイレットペーパーは使いません。
そのため、トイレの便器の横の壁には蛇口とホースがあり、トイレの床は水浸しのところが多くあります。
マレーシアは基本的にチップの習慣はない
マレーシアでは、基本的にチップの習慣はありません。
もしチップを渡す場合は、ホテルでなら5リンギ(軽食代程度)程、飲食店の会計やタクシーでは1リンギ以下のコインで十分喜んでくれます。
そもそもマレーシアには、税金(5%)とサービス料(10%)があります。
ホテルの宿泊代金や一流レストラン等の料金表やメニューには「++」(プラスプラス)の表示がある場合があります。
この意味は、精算時に税金(5%)とサービス料(10%)が別途加算されるということです。
「RM〇○net」と書かれていたら、「税サ込」の意味で支払金額はそのままです。
マレーシア人の時間にルーズは国民性
マレーシア人は、南国気質。
悪く言えば、時間にルーズで、細かいことは気にしないのが特徴です。
列車やバスが遅れて2時間待ちということや、ホテルの電球が切れていても取り替えに1時間待ちなどは日常茶飯事です。
それでも怒らず文化の違いを楽しむことで、マレーシアの滞在も楽しくなるはずです。
マレーシアはすべての飲食店が禁煙
マレーシア国内のすべての飲食店において、電子・液体タバコも含めて全面禁煙になっています。
違反者には最高1万リンギットの罰金か、2年以下の懲役が科せられます。
また、飲食店以外でも「禁煙」と書かれている場所や禁煙区域があります。
・ショッピングセンター
・公共の場所(道路・公園・博物館など人が集まる場所)
・政府の建物
・バス・鉄道・空港などの公共交通と駅・タクシー車内
・宗教施設
・世界遺産地区
・一部のホテル
マレーシアの文化でタブーとされること
●初対面では異性に握手を求めないこと!
同性同士の場合は問題ありませんが、初対面の異性に握手を求めることはタブーとされています。
●子供の頭は神聖なものなので触るのはNG!
イスラム圏では、子供の頭は神聖なものと考えられているので、頭をなでる習慣がありません。
日本人は、子供を撫でてしまいがちなので気を付けましょう。
●人指し指での指差しは厳禁!
指差す必要がある場合は、右手を握り親指だけ伸ばし指差しましょう。
人さし指で人を示す動作は、最も失礼なこととされています。
●肌の露出に気をつけよう!
南国の国でもマレーシアは、イスラム教徒の国ですので、女性のミニスカートやタンクトップなど肌を露出したファッションは避けるようにしましょう。
特に、イスラム教寺院は信徒にとって神聖な場所なので、訪れる際には服装に気を付けましょう。
●豚肉とアルコールはNG!
イスラム教徒は戒律により豚肉を食しないため、どこでも豚肉を買えるわけではなく、ノンハラルコーナーでしか置いていないルールがあります。
また、豚肉や豚由来のゼラチンを含む食品も、他の商品と売り場が隔離されています。
その他にもカフェイン、タバコ(ニコチンの接種)、アルコール類が禁止されています。
アルコール類には酒類だけでなく、アルコール発酵を伴う食品類も含まれます。
ただし信者ではない外国人旅行者は、飲食に制限はなく街中で酒類を購入できますが、
スーパーマーケットでのノンハラル商品は、イスラム教徒ではない従業員のいるレジでしか会計できないなどの制約があります。
●左手は不浄の手なので左手を使うのはNG!
マレーシアの国教のイスラム教と、インド系のヒンドゥー教に共通するのが「左手は不浄」という概念です。
現地の人に物を渡す時には左手を使わず、意識して右手を使うようにしましょう。
お釣りなど受け取る時も、右手を使用します。
左手で食事をしたり握手をするのは、タブーとされています。
マレーシアの日常生活での手の使い方は、「食事は右手・トイレは左手」が常識となっています。
マレーシアと日本の文化交流
日本とマレーシアとの交流は,16世紀にさかのぼります。
キリスト教や鉄砲が日本に伝わったのは、マラッカを経由したとされています。
17世紀には交易の記録があり、20世紀初頭にはゴム栽培や鉄鉱石の採掘に携わる日本人がマレーシアを訪れています。
その後、マハティール首相により「東方政策」が提唱されたことで、マレーシアから日本に留学生や研修生の派遣が始まり、日本人のマレーシアへの留学者数も増加しています。
その一方でハラル分野をはじめ、考古学・文化財の修理修復の技術など、日本の多岐にわたる幅広い分野の情報交流が実施されています。
また民間においても文化的交流事業も行われており、文化的にも経済的にも今後ますます日本とマレーシアの関係は深まっていくことになるでしょう。
まとめ:マレーシアは世界文化遺産の生きた文化が感じとれる国!
マレーシアの最大の魅力は、文化遺産の中で現在も多くの住民が暮らしている国であるというところです。
文化や生活習慣は国によって異なりますが、多民族国家であるマレーシアには様々な宗教が生活のなかに根付いている分、祭日も多く行事も多彩で民族性に溢れています。
そんなマレーシアには、宗教上の戒律によりタブーとされることも多くあります。
マレーシアに旅行するなら、
・不浄の手とされる左手を使うのはNG!
・子供の頭をなでるのはNG!
・指差す場合は人差し指を使うのはNG!
・イスラム教徒の豚肉とアルコールはNG!
・初対面での異性に握手はNG!
・神聖な場所での肌の露出はNG!
など、最低限守るべきマナーを知っておきましょう。
異国の文化に触れることは、その国を知ることに繋がります。
マレーシアと日本は、歴史的にも様々な面で交流がある関係です。
東洋と西洋文化が融合したエキゾチックな文化をもち、日本で一番近いイスラム圏の国がマレーシアです。
日本とマレーシアの文化の違いを知ったうえで旅行すると、よりマレーシアのことが理解できて楽しむことができるはずです。