1. TOP
  2. シンガポール証券取引所の特徴と上場について

シンガポール証券取引所の特徴と上場について

シンガポール証券取引所はどのような特徴があるのでしょうか。

 

Contents

国際的な取引市場

シンガポールにおける企業が非常に国際的であるのと同様、

シンガポール証券取引所も非常に国際的な市場として知られています。

空港だけでなく金融においても

「ハブ化」が進んだシンガポールにふさわしく、

ASEAN地域の最大の証券取引所として、大きな規模を誇っています。

 

開会の企業もシンガポール証券取引所に上場していることが多く、

日本企業も、野村ホールディングス株式会社や、村田製作所など

そうそうたる企業が上場しています。

 

2014年6月の時点において、

シンガポール証券取引所に上場している企業は766社、

株式時価総額は7800億シンガポールドル弱、

当時の貨幣価値で日本円の81兆円の取り引きを行っています。

 

東京証券取引所に比べると株式時価総額では6分の1程度

比較的小規模に思えるかもしれませんが、

東京証券取引所に上場している外国企業はわずか12社であるのに比べ、

シンガポール証券取引所に上場している外国企業は288社にも上ります。

つまり、外国企業の上場については東京証券取引所の約25倍、

外国企業が全上場企業に占める割合は37%超と非常に高率なのです。

 

この288の外国企業は、中国や東南アジア、南アジアを中心に

20カ国以上からなり、

シンガポールがアジアを代表する経済の中心地であることを示しています。

 

これらのアジアの国々が、

シンガポール証券取引所に上場している理由としては、

国際金融ハブとしてシンガポール市場で資金調達を行うことと

企業の知名度の国際的な向上を目指すことがあげられます。

 

メインボードとカタリスト

シンガポール証券取引所は「メインボード」と「カタリスト」と呼ばれる

二つの市場により構成されています。

「メインボード」は大規模な企業が多く上場しており、

「カタリスト」は規模が比較的小さい新興企業の上場が多いです。

 

「カタリスト」に上場している企業が、一定の条件を満たすと、

「メインボード」に移動することができ、

反対に「メインボード」から「カタリスト」に移動も可能です。

2014年6月現在、「メインボード」に上場する企業は623社、

「カタリスト」に上場する企業は143社となっています。

 

取扱商品

シンガポール証券取引所では、通常の株式やREIT、

社債などの債券、デリバティブ商品など多彩な商品を扱っています。

また、シンガポールドルだけではなく、

アメリカドルでも取引を行えることも、

他の国の証券取引所ではあまり見られない大きな特徴です。

 

シンガポール証券取引所上場の「価値」と「関与者」について

シンガポール証券取引所に株式を上場させることは、

どのような価値を持つでしょうか。

また、シンガポール証券取引所に上場する際には、

どのような資格を持つ人や機関と関わってくるでしょうか。

 

上場地としてみたシンガポール証券取引所

シンガポール証券取引所は、

シンガポール金融庁やシンガポール警察庁などといった

関連機関とも密接につながっており、

長期的な観測の中で、規制を強化したり発展させたりしています。

 

国際的な市場として、投資家が安心してシンガポール市場に参加できるように

上場するための要件や審査、開示義務などを「投資家保護」の立場に立って

厳格に定めているのです。

ですから、シンガポール市場に上場することは、

決して容易に行えることではありませんが、

上場するならば、南アジアや東南アジア諸国へ事業展開する際に

大きなメリットになることは言うまでもないことです。

 

メインボード上場の場合の関与者

シンガポール証券取引所に上場する際の主な関係者は、

次の機関を上げることができます。

 

シンガポール証券取引所

シンガポール唯一の証券取引所であるシンガポール証券取引所は、

シンガポール市場に上場する際に、申請書を提出する先でもあります。

 

MAS

Monetary Authority of Singapore、MASと略される機関は、

シンガポールでの株式を受注を規制する「証券先物法」と、

「2005年投資勧誘・株式および債券規則」を所轄する

シンガポールの株式公募に関する規制当局です。

 

Issue Manager

上場申請手続きを行う者を「Issue Manager」といい、

申請する会社がシンガポールのメインボードで上場するためには、

必ず依頼することになります。

 

Issue Managerは銀行やシンガポール証券取引所で承認される必要があり、

上場できるかどうかは、Issue Managerがどのように

申請する会社が上場に適した企業であり、

上場の条件を満たしており、上場後の開示義務遂行が可能であり、

取締役が適性のあるものであるかを確認するかにかかっているのです。

 

Underwriter

上場すると同時に、申請会社から株式を引き受けて、

申請会社に代わって投資家に株式を販売する者をUnderwriterといいます。

会社の規模や株式の規模に合わせて、シンジゲートを組織して、

世界的に株式の公募を行う場合もあります。

大抵の場合は、Issue ManagerとUnderwriterは兼任されています。

 

シンガポール証券取引所に上場する際に、

関与する個人や機関について見ていきましょう。

 

法律事務所

株式公開のための目論見書などの作成、上場申請を行う際の必要書類の作成、

シンガポール法や規則に関係した法律問題について対応してくれるのが、

法律事務所」になります。

 

シンガポールの法律事務所

シンガポールの現地の法律事務所は、やはりこのような仕事に慣れており、

シンガポールの法律や規則についても情報が確かです。

上場する際には、必ず1か所はシンガポールの法律事務所と

契約する必要があるでしょう。

 

日本の法律事務所

ですが、日本の会社がシンガポール証券取引所に上場する際は、

シンガポール法と規則、日本の法律と規則の差を説明する必要が生じます。

その際には、日本の法律事務所の力も借りなくてはなりません。

 

目論見書などの重要書類を作成する場合にも、

日本の法律に照らし合わせて、

虚偽や記載漏れ、誤解を招く表現などがないかなどを厳密にチェックする

必要があります。

このような場合に備えて、

日本の法律に明るい日本の法律事務所と契約する必要があるのです。

 

アメリカ法やイギリス法の法律事務所

アメリカ法やイギリス法を専門に扱う法律事務所

契約することもあります。

これは、アメリカやユーロ圏などの市場に株式公開を行う際に、

現地の法律事務所と契約する必要が生じてくるからです。

 

また、アメリカやユーロ圏の市場に株式公開を行わなくても

会社自体が日本やシンガポール以外で事業を行っている場合には、

その地域における法律や規則と関わる問題を対処するため、

現地の法律事務所が必要になってくるのです。

 

会計事務所

上場申請の際の会計報告書やプロフォルマ財務情報に関連する報告書、

収益予測に対する意見書などを作成する場合に、

「会計事務所」が必要になります。

 

資産評価事務所

目論見書に記載する、上場する会社に関する資産の評価書は、

資産評価事務所」で作成します。

 

上場する場合の相談先

日本の企業などの外国企業がシンガポール市場に上場する場合は、

上場に成功するかのカギは「Issue Manager」や「Underwriter」を

どの様に選ぶか、誰を選ぶかにかかっていると言っても

過言ではないのです。

 

日本に居ながらにして、シンガポール市場についての情報を得る場合は、

シンガポール証券取引所の東京窓口に相談することもできます。

また、シンガポールの会計事務所や法律事務所にも、

上場する前に相談することができます。

 

シンガポール市場に上場する条件とは?

シンガポール市場の上場するには、一定の基準を満たす必要があります。

最低限満たす条件に、業績上の基準がと株式時価総額の基準が加えられます。

 

メインボードに上場する条件

シンガポール証券取引所で比較的大規模の企業が上場する「メインボード」に

上場する条件について見ていきましょう。

 

共通する条件

業績や株式時価総額は

後述の3つのパターンのいずれかに当てはまる必要がありますが、

最低限満たしていなくてはならない共通する条件として、次の5つがあります。

 

①3億シンガポールドル未満の株式時価総額である場合、

 募集後の株式資本の25%が

 500人以上の株主に分配されている必要があります。

 

②3億シンガポールドル以上の株式時価総額である場合は、

 その総額に合わせて株式資本の12から20%が

 500人以上の株主に分配されている必要があります。

 

会計基準はシンガポールかアメリカ、もしくは国際財務報告基準です。

 国際財務報告基準とは、主にEUで用いられている会計の基準です。

 

④会社の居住地は、企業の裁量に任せられています。

 同様に、取り引きや報告通貨も企業に一任されています。

 

事業の運営はシンガポール国内である必要はありません

 ですが、最低2人のシンガポール在住の取締役が必要です。

 

業績基準その1

共通基準を満たしたうえで、

直前年度の税引き前の利益が3000万シンガポールドル以上あること、

また、事業を最低3年継続していること、

経営者も最低3年は交代していない事が求められます。

 

業績基準その2

共通基準を満たしたうえで、新規株式公開時点での株式時価総額が

株式の発行価格を基準として1億5000万シンガポールドル以上であること

また、事業の履歴が3年以上あり、

経営者は1年もしくは2年以上交代していないことが求められます。

 

業績基準その3

共通基準を満たしたうえで、

最近1年の営業収益が最低3億シンガポールドルあること、

新規株式公開時点での株式時価総額が、発行価格を基準として

3億シンガポールドル以上あること、

また事業履歴が最低1年あることが求められます。

 

組み合わせ方

共通基準+業績基準その1もしくは共通基準+業績基準その2、

共通基準+業績基準その3であれば、

メインボードに上場する条件としては満たされます。

 

カタリストに上場する条件

シンガポール市場の比較的新興企業や、

小規模の企業が上場することが多いカタリストに上場する条件としては、

募集後の株式資本の15%が200人以上の株主に保有されること、

上場後も、継続して開示する必要があることが求められていますが、

業績や株式時価総額に関する基準は定められていません

 

日本企業のシンガポール市場への上場例

シンガポール市場にすでに上場している日本企業の例を見ることで、

外国企業がシンガポール市場に上場するときの傾向を学びましょう。

 

メインボードのプライマリー市場(1部)

シンガポール市場の「メインボード」のプライマリー市場(1部)に、

上場した日本企業はまだありません。

シンガポール市場は、

シンガポール国内での事業運営を上場の条件とはしていませんので、

比較的に外国企業が上場しやすい市場ではあります。

 

ですが、メインボードのプライマリー市場は、

シンガポール証券取引所の規則、つまり監査委員会を付けること、

報酬委員会の設置、指名委員会の設置、関係者取引についての開示、

重要取引についての開示、株主総会での承認など、

日本の会社法では必要とされない事も条件として課せられますので、

外国の企業がそのままの形でシンガポール市場のメインボード、

そしてその中でもプライマリー市場に上場することは

困難なことでもあるのです。

 

それらの条件を満たしていなくてもシンガポール市場の

メインボードのプライマリー市場に上場したいと望む企業は、

シンガポール証券取引所の規定の免除を受けられるのか

協議を図る必要があります。

シンガポール証券取引所の基本的な姿勢は、株主の保護ですので、

それに合うように代替案を取ることができます。

 

メインボードのセカンダリー市場(2部)

日本の東証2部に当たるのが、

このシンガポール市場のメインボードのセカンダリー市場です。

メインボードのセカンダリー市場では、共通する条件さえ満たしていれば

シンガポール証券取引所の規則は満たしている必要がありませんので、

プライマリー市場に比べると、上場しやすいのが特徴です。

 

現在、日本企業としては、野村ホールディングス株式会社、MARUWA、

株式会社村田製作所、トーセイ株式会社などが上場しています。

 

カタリストのプライマリー市場(1部)

カタリスト市場に上場できるかどうかは、

スポンサーの裁量にかかっていると言っても過言ではありません。

日本の会社法に基づいて設立された会社でも

条件さえ合えば、そのまま上場することができます。

 

実際、2013年には日本の会社法により設立された

株式会社ジークホールディングスがカタリストのプライマリー市場に

上場しました。

 

カタリストは、

メインボードとは異なり、セカンダリー上場を認めていません。

つまり、外国などの他の証券取引所にすでに上場している企業は、

プライマリー市場においてもセカンダリー市場においても

カタリストに上場することはできません

 

シンガポールの「メインボード」に上場するときの手続き

シンガポール市場の「メインボード」に上場するときに、

必要となる手続きや、上場までの期間について見ていきましょう。

 

アドバイザーを選ぶ

上場するためには、その企業のスポンサーとなり申請の手続きも行う

「Issue Manager」を選ぶ必要があります。

そしてIssue Managerだけでなく、シンガポール法に通じた弁護士、

日本法に通じた弁護士、法務や会計のアドバイザーなど

多くのアドバイザーを選任する必要があります。

 

アドバイザーの助言を受けながら、上場の方法や、

日本企業として上場するのか、シンガポールに会社を設立して上場するのか

メインボードの上場を図るのか、カタリスト市場にするのかなどを

決定していきます。

 

書類の準備

企業の事業内容や考えうるリスク、財務情報などを記した「上場申請書」や

「目論見書」などの書類を作成していきます。

法律事務所や会計事務所のスタッフは、記入漏れがないかだけでなく、

事実と異なる記載がないか、誤解を招く表現がないかなどもチェックします。

 

書類の提出

シンガポール証券取引所が指定する上場申請書類を、

シンガポール証券取引所に提出します。

上場する際に新規公開株(IPO)を伴う場合は、

目論見書の草稿も同時に提出する必要があります。

 

目論見書の草稿はMonetary Authority of Singapore(MAS)にも提出し、

事前のチェックを受けることもできます。

 

シンガポール証券取引所のチェック

上場条件を満たしているか、シンガポール証券取引所のチェックを受けます。

開示した書類に問題がないか、誤解を生む表現がないかを詳細に見、

問題がない場合もしくは問題が訂正された場合は、

MASのチェックが始まります。

 

MASによるチェックが終了すると、

シンガポール証券取引所が正式に上場を認め、上場適格証書を発行します。

この上場適格証書はEligibility-To-Letter(ETL Letter)と呼ばれ、

その後の手続きにも必要になります

 

目論見書の提出

上場と同時に新規公開株(IPO)を行う場合は、

ETL Letterを受け取った後にMASへ目論見書を提出する必要があります。

この目論見書はMASのサイトに1週間から3週間開示されます。

 

目論見書の登録

目論見書に虚偽の申告などがない場合には、目論見書が登録されます。

登録完了すると、IPOを行うことができます。

IPOの募集期間は、通常の場合には1週間となっています。

 

シンガポール市場上場後の企業側の義務

シンガポール証券取引所に上場した後は、

企業側としてどのような義務が生じてくるのでしょうか。

 

企業統治における義務

シンガポール市場に上場した会社は、その年次報告書において

「企業統治」とも言われるコーポレートガバナンス、

つまり企業の不正行為を防止し収益力の向上を目指すために、

長期的な企業価値を捉えた経営上の理論を述べなくてはなりません

 

コーポレートガバナンスに変更がある場合は、

その理由とともに年ごとに記載する必要があります。

 

証券取り引きにおける義務

上場した会社はシンガポールの会社と従業員の証券取引においての内部規定や、

役員による短期もしくは一定期間の売買の禁止などについても

年次報告書に記載する必要があります。

 

セカンダリー上場つまり他の市場ですでに上場している企業を除き、

全ての企業は、上場している会社の株主や取締役の保有する株式の

増減などに関しても報告する義務があります。

 

関係者取引における義務

上場しているシンガポールの会社と、

その上場していない子会社や関連会社との取り引きについても

開示する必要がある場合があります。

 

直近の財務書類において、

シンガポールで上場した会社が保有する固定資産の

3%以上の取り引きを行った場合は、

即時にその取引内容について開示する義務が生じます。

また、保有する固定資産の5%以上の取り引きを行う場合は、

株主総会で株主たちから承認を得たうえで開示する必要があります。

 

即時開示義務について

シンガポールにおいて情報を即時開示するのは、次の場合も含まれます。

①取締役、会社秘書役、監査人などの役職にある者の選任や退任

②取締役やディレクター、主要株主などが

 経営にかかわる地位に就任した場合。

③監査委員会に取締役が選任された場合もしくは解任された場合

④株主総会を開催する場合

⑤一定量以上の会社の資産の売却などの処分

⑥配当についての報告

⑦企業買収や訴訟と関わる場合

⑧定款に変更案がある場合

⑨上場している会社もしくはその子会社を精算する場合

 

継続開示義務について

2003年3月31日の時点で

株式時価総額が7500万シンガポールドル以上の上場会社、

もしくは2003年4月1日以降に上場したシンガポールの会社で、

上場時に株式時価総額が7500万シンガポールドル以上であった会社、

また、2006年12月31日以降の毎年の最終取引日における

株式時価総額が7500万シンガポールドルを超えている会社は、

四半期の最終日から45日以内に財務書類を公表しなくてはいけません。

 

この際に公表する財務書類は、

第1四半期、第2四半期、第3四半期と1年間トータルの書類です。

 

その他、シンガポールでの会社設立や買収・譲渡、会計制度などは下記にてお伝えしております。

シンガポール会社設立・資金調達・上場その他関連情報

\ SNSでシェアしよう! /

シンガポール移住生活&観光&ビジネス singainfo.comの注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

シンガポール移住生活&観光&ビジネス singainfo.comの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介 ライター一覧

シンガポール

シンガポール

その他の記事  記事一覧

  • マレーシア・ペナン島のおすすめ観光・生活情報

  • シングリッシュとは?特徴・歴史・発音・一覧全てをお伝えいたします!

  • singainfo.comでは企業・お店・イベントの宣伝・紹介を無料にて受け付けております!

  • シンガポールと日本人の深い関係

関連記事

  • シンガポールの地域統括会社が「成功するための対策」

  • シンガポールで会社設立「採用後の給与」

  • シンガポールでオフィスを構える「IT企業と飲食店の場合」

  • シンガポールへの移住が富裕層に人気の理由

  • シンガポールビジネスの税務「法人所得への課税について」

  • シンガポールで「自己株式」を取得する