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シンガポールの法人税について

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シンガポールの「居住法人」と「非居住法人」

シンガポールの税務は法律上、全ての会社は「居住法人」と「非居住法人」に分けられます。

この区分は、法人としての意思決定をシンガポール国内で行っているかどうかで分けています。

つまり「居住法人」とは、会社を左右する意思決定をシンガポール国内で行う法人であり、「非居住法人」とは、シンガポール国外で意思決定を行う法人です。

 

「居住法人」は、租税条約の適用対象となり、国外における源泉徴収所得に関して免税措置を適用され、外国税額の控除も受けることができます。

 

シンガポールの確定申告

日本では納税者自身が申告した金額により納税を行います。

この申告した額に誤りがある場合は、税務当局により確認が行われ修正して申告する必要が生じます。

一方、シンガポールでは納税者は所得を申告するだけで、課税額は税務当局が決定し納税者に通知します。

 

シンガポール法人の見込み申告と確定申告

シンガポール法人の場合の税務申告の流れはどうなっているでしょうか。

まず最初は、決算日から3か月以内に「見込み申告」を行います。

この見込み申告はシンガポール税務当局(IRAS)に対して行います。

 

そしてIRASは「見込み申告」に基づき、賦課通知書を発行します。

大抵の場合は、見込み申告を行ってから1カ月程度で賦課通知書が届きます。

 

そして、法人はこの賦課通知書に基づき1カ月以内に納税します。

分割払いも認められていますので、IRASにその旨を尋ねることができます。

 

法人は「確定申告」を決算日の次の年度の11月30日までにIRASに提出します。

 

IRASは「見込み申告」と「確定申告」の差額に対して「賦課通知」を発行します。

法人は「賦課通知」に基づいて、差額を納めるか還付を受けます。

正しく税金を納めるために、何度も書類が法人とIRAS間を往復するのです。

 

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シンガポールの税務調査

日本の場合とは異なり、シンガポールでは税務調査のために調査官が会社を訪れ、関連する書類を閲覧することはほとんどありません。

疑問点や不明点がある場合は文書のやりとりにより解決します。

税務調査の対象期間は、2007年度以前の会計書類は6年間、2008年度以降の会計書類は4年間と定められています。

これらの期間は、書類を破棄せずに保管しておくようにしましょう。

 

シンガポール法人の法人税納付が遅延した場合

法人税・所得税が納付期間を遅延してしまった場合は納税額の5%を追加で納める必要が生じます

遅延期間が1カ月経過する度に、さらに1%の追加徴収があります。

最高20%までの追加徴収がありますので期限を守るようにしましょう。

 

シンガポールの「所得源泉地」に関する考え方

シンガポールの法人税と所得税は、日本の法人税や所得税とは「所得の源泉地」に対する考え方が異なります。

どのように異なるかを見てみましょう。

 

日本の法人税

日本の法人税はどこの国で得た所得であろうと、その法人が居住する住所がある場所で、全ての所得を課税対象とします。

つまり、外国で得た所得であっても、法人の住所を日本と定めているならその法人が得た所得は、全て法人税の課税対象となるのです。

このような所得の源泉地に対する考え方を「全世界所得課税」と言います。

 

シンガポールの法人税

シンガポールの法人税の考え方は日本とは異なります。

シンガポールでは、シンガポール国内で発生した所得とシンガポールの国外からシンガポールに送金されたものに対して法人税が発生するのです。

つまり、シンガポール国内に法人の住所を置いている場合でもシンガポール国外で発生してシンガポール国内に送金されない所得は法人税の課税対象外なのです。

 

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課税対象外の送金

配当金や支店の利益、国外源泉のサービスによる収入であり、所得の発生した国での法人税率の最高率が15%以上であり、所得が発生した国ですでに課税されており、シンガポール国内で法人としての意思決定を行う「シンガポール居住法人」である場合は、シンガポールに送金されたものであっても、法人税の対象とはなりません。

 

製品売り上げに対する法人税

原則的に、製品売り上げによる利益は、税務上も益金計上されます。

 

サービス収入に対する法人税

原則的には製品売り上げによる利益と同じで、益金計上されます。

ですがシンガポール国外で発生したサービス収入で、その国において15%以上の法人税が課税される場合には、シンガポールにおいては課税対象とはなりません

 

受取利子に対する法人税

シンガポール国内で発生した預金の利子や貸付金の利子に関しては税務上、益金計上されます。

ですが、シンガポール国外の法人から受け取る金利やシンガポール国内の非居住者の利子なども、シンガポールに送金された時点で、法人税課税対象になります。

 

配当金に対する法人税

シンガポールでは法人税を最終の納税とみなしますので、配当金を受け取る際には税金は発生しません。

ですが、シンガポール国外の法人からシンガポール国内に配当金を送ってもらう場合には、その配当金が発生した国において課税されていないもしくは15%未満の課税がなされた場合には、配当金であってもシンガポール国内の課税対象となります

 

株式譲渡益に対する法人税

株式譲渡益つまりキャピタルゲインは、シンガポールでは非課税です。

これは、全てのキャピタルゲインに関して非課税と言うわけではなく、「資本取り引き」に該当する株式譲渡益のみが非課税になるのです。

 

ここでいう「資本取り引き」とは、値上がりによる利益を目的とした保有でなく、保有期間が長く、短期的な資金調達により購入したものでなく頻繁に売買を繰り返さない取り引きを指すのです。

具体的な目安は、最低でも24カ月以上保有し、20%以上の株式保有率を維持していることとされています。

 

固定資産譲渡損益に対する法人税

固定資産の譲渡損益は、資本取り引きとみなされますので、基本的には益金にも損金にも計上しません。

ですが、減価償却費に関しては一定額において損金に計上できます

 

為替差損益に対する法人税

外貨建ての子会社の株式や定期預金、貸付金や借入金などは資本取り引きとみなしますので、益金にも損金にも計上されません。

ですが、外貨建ての営業債権などは資本取り引きではなく損益取引と考え、課税対象となる益金もしくは損金に計上します。

 

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サービスカンパニーに対する法人税

シンガポールで日本本社に提供するマーケット調査を行う法人や、日本本社や関連会社の広告活動のみ行う法人などは、シンガポール国内において費用は発生しますが売り上げは全く発生しないということがあります。

 

このような「サービスカンパニー」に対しては、関連会社に対する「サービス」を提供していると考え「サービス」という利益が生じたとみなし、法人税を課します。

 

この場合の「サービス」は具体的な売上額がありませんが、規則的な活動を行うサービスカンパニーに対しては、

IRASはシンガポールで発生した費用の105%を一律に売り上げとして考えるように示しています

このように、費用にいくらかの利益を上乗せして売上金として計上する計算方法を「コストプラス」といいます。

 

例えばシンガポールにおける広報活動や市場調査に1,000,000シンガポールドルの費用がかかった場合は、

サービスとしての売り上げが1,050,000シンガポールドルあったと考えますので、売り上げから費用を差し引いた50,000シンガポールドルが所得として課税対象になります。

法人税率を17%とすると、8,500シンガポールドルを法人税として納めることになります。

 

損金算入の基準

どこまでが費用として認められるか、どこまでが損金算入できるかを把握しておくことは、シンガポールの法人税を理解する上でも大切です。

シンガポールの法人税を計算するに当たって、損金とみなすかどうかは益金とみなすかの基準と同じく、資本取り引きは損金とはみなさず、損益取引のみ損金に算入します

また、その金額全てが所得に貢献するためだけに支出された場合、損金として算入します

つまり、個人的な旅行は損金としては算入できませんが仕事上の出張は損金として扱います。

 

給与の損金算入

シンガポールの税務上、役員への報酬も含めて全ての給与は損金として算入されます。

賞与も給与と同様、損金として算入します。

日本に親となる法人があるシンガポール法人の場合は、給与もしくは報酬がシンガポールの法人が負担すべきものかは吟味する必要があるでしょう。

 

例えば、シンガポールにある法人が日本の親会社のための市場調査や広報活動を行っている場合、シンガポールの法人で全ての報酬や給与を賄うのは、問題となります。

 

福利厚生費の損金算入

シンガポールでは国民医療保険に該当するシステムがありませんので、法人の損金としては算入できません

ですが、それ以外の福利厚生にかかわる費用は全て損金として算入することができます。

 

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保険料の損金算入

国民医療保険はありませんが、従業員の報酬額の1%までは法人が従業員の保険料を一部負担するという名目で、損金として算入することができます。

 

生命保険に関しては受益者が法人の従業員となる場合は給与扱いで損金算入し、受益者が法人となる場合は、全額損金に算入することができません。

 

交通費の損金算入

日本と親法人、シンガポールの法人の役員を兼ねるものが日本に出張する場合は、どちらの法人の費用となるかはその場合によって異なります。

どちらの法人の事業としての出張なのか目的を明確にし、各法人に交通費として請求することができます。

 

車両費の損金算入

一般的にシンガポールでは、社用車には「Sプレート」が付されます

このSプレートは、損金として算入できませんので、社用車は損金へ算入することができないと言えます。

貨物運搬用車に付される「Gプレート」は損金算入できます。

 

社用で利用する車であっても、政府関係の車両や、特殊仕様車、バスやタクシーなどを保有する場合は、Sプレート以外が付されますので、車により損金算入できるかが異なります。

 

シンガポールでの法人にかかる費用について、どの費用が損金として算入できるかどうかを理解しておきましょう。

 

事務所家賃の損金算入

シンガポール法人の事務所家賃は全額損金として算入できます。

ですが賃貸契約を結ぶ際の印紙税や代理店にかかる費用は、損金として算入することはできません。

 

租税の損金算入

シンガポールの法人税や、外国での法人税に関しては、損金として算入することはできません。

消費税(GST)に関してはGSTに登録している業者が支払うGSTは損金として算入できませんが、GST登録を行っていない業者の支払うGSTは、算入できます。

 

事業用の資産の固定資産税は損金として計上できますが、それ以外の資産にかかる固定資産税は計上できません。

 

固定資産を取得する際、株式を取得する際、また事務所の賃貸契約の初回の印紙税は損金として計上できませんが、事務所の賃貸契約の更新時の印紙税は、損金計上可能です。

 

通信費の損金算入

通信費は全て損金として計上することができます。

 

専門家に対する報酬の損金算入

会計士に支払う費用や、弁護士に支払う費用は、シンガポール法人の事業活動にかかわる場合は、損金に算入できます。

ですがシンガポール法人の事務所など不動産の賃貸契約時の専門家に支払う費用は損金算入対象外です。

 

交際費の損金算入

接待費や交際費も、シンガポール法人の収益にかかわる費用に関しては全額を損金として算入することができます。

シンガポールで法人として活動していくうえで、日本人会などの同業者団体に加入する入会金は、損金計上できませんが、年会費は損金として計上することができます。

 

支払い利子の損金算入

シンガポール法人の収益にかかわる資産の取得や機材の導入の際に資金を借用した場合、その借用金に対する利息は損金として算入されます

ですがそれ以外の借用金の利息は、原則として算入できません。

 

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寄付金の損金算入

寄付金は、シンガポール法人の収益とは関係がありませんので、損金として計上することができません。

ですが政府系の団体など、認定を受けた機関に対する寄付金は、寄付金として支払った額の250%までを損金として計上することが可能です。

 

シンガポール法人開設にかかわる費用の損金算入

シンガポール法人開設は、シンガポール法人としての収益に直接関連がないので、損金として計上することができません。

ですが、最初の売り上げが発生する年の1年前までに生じた費用は、損金として計上することができます

 

シンガポールの法人税率と外国税額の控除を見ていきましょう。

 

シンガポールの法人税率

シンガポールの法人税率は、一律に17%と定められています

ですが、10,000シンガポールドル以下の課税所得額に対しては75%を免税とし、10,000を超えて300,000シンガポールドル以下は50%を免税とします。

300,000シンガポールドルを超えて取得した所得の場合は、免税対象はありません。

 

具体的には、400,000シンガポールドルの所得があった場合は、最初の10,000シンガポールドルに対しては75%が免税となり、次の300,000シンガポールドルまでは50%が免税となりますので、

免税対象となるのは7,500+145,000で、152,500シンガポールドルです。

 

ですから課税対象となる所得額は400,000-152500の、247,500シンガポールドルと言うことになります。

この額の17%を法人税、所得税として納める必要がありますので、実際には42,075シンガポールドル納税します。

 

シンガポールの新設法人開設の免税特例

シンガポールで新規に設立した法人で、株主が20人以下かつ全てが個人株主であり、シンガポール居住法人である場合は法人設立後3年間、特例を受けられます。

この特例とは、100,000シンガポールドル以下までの所得は全額免税、100,000を超えて300,000シンガポールドル以下の所得は50%免税です。

 

外国税額の控除

シンガポールの法人が、シンガポール国外で発生した所得に対してシンガポール国内に送金してもらった場合には、一定の要件を満たす所得以外は課税所得と考えられます。

この一定の要件とは、配当金、支店の利益、国外で発生したサービス収入を指します。

 

ですが、所得が発生しているシンガポール以外の国ですでに納税を行い、その国の所得にかかわる税率が15%以上の場合で、シンガポールに課税所得がある場合には、外国で発生しシンガポールに送金された所得に対して、「外国税額」として控除のメリットを受けます。

 

例えば、日本のように所得税率が15%以上の国で発生した所得で、すでに日本で納税を納めた所得をシンガポールに送金する場合は、シンガポールで再度納税する必要はないのです

 

ですが、所得税率が15%未満の国、例えばインドネシアで10%の所得税を納税した場合の所得をシンガポールに送金した場合は、シンガポールでも再度納税する必要が生じ、二重に課税されることになってしまいます。

 

この「外国税額に対する控除」には、上限額は定められておりません。

 

その他、シンガポールの法人税に関する情報は下記にまとめています。

シンガポールの税金「法人税」における「開業・交際・寄付」について

シンガポールの会計制度について

シンガポールの「企業優遇税制」について

「タックスヘイブン対策税制」のシンガポール企業への適用

シンガポールビジネスの税務「配当に対する課税について」

シンガポールビジネスの税務「法人所得への課税について」

シンガポールの企業を「再編成する場合」の税制について

シンガポールの「法人」と「税金」について

シンガポールの税金の「修正申告」について

シンガポールの税金の「過少申告」について

 

 

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